酒粕と麹・糀の違い
酒粕とは?
酒粕と麹・糀には、どのような違いがあるのでしょうか?
酒粕は、簡単に言えばお酒の原料となる、諸味を絞った後に残るかすを言います。もろみから水分やお酒になる成分を、ほとんど出したあとの個体です。
米からお酒を作る際、約25パーセントは酒粕になって残ると言われています。内容は水分に炭水化物、タンパク質と脂質から成っています。
しかし注目すべきはその他の成分で、アミノ酸やビタミン類、酵母なども豊富に含むため、健康への相当な効果が期待できます。実際、酒粕を使用した料理や甘酒などは、健康食として人気が高まっています。
生産法の変化により流通数が減ってきているものの、昔ながらの日本の伝統を生かした健康的な食材です。ある研究では、がん抑制効果や一部のアレルギー改善などにも効果があるとされ、古来の日本人が生み出した健康食には驚くばかりです。
麹・糀とは?
では麹とはどのようなものなのでしょうか?これは中国由来の漢字で、昔からの日本語表記では糀と書かれます。麹とは、原料となる穀類、米や麦などを蒸して火を通した後に、麹菌を付着させ増殖させたものです。
見た目はつぶれたようなお米が白く濁っており、生のお米に比べて一度蒸しているため大きくなっているのが特徴です。カビが生えたようなお米が麹となりますが、使用される麹菌には幾つか種類があります。
恐らく一番有名な白麹、黒麹、黄麹、紅麹などが知られています。これらは、お米に付着したまま発酵することができ、それを材料に焼酎を作ることで有名です。
乾燥させて水に漬けることで再び培養できるようになっており、麹を利用した様々なレシピも考案されています。特に肉を柔らかくする効果が顕著で、肉を半日漬け込むだけで本格的な肉料理が簡単に出来上がります。
麹の作り方
麹を作るのは非常に繊細な作業です。温度管理や清潔さがシビアに要求される世界で、現在では、機械を使用した厳密な管理体制の元に製造されています。
まず、米は精米と選別の工程を経た後に水に漬けられます。米の中心部まで水を浸透させ、さらに蒸しの工程へと移っていきます。蒸すだけでは、内部まで十分に水分を含ませられないため、漬け置きと蒸す工程が別々に行われます。
蒸し終わったら冷却し、麹菌にとって最適な温度になるまで冷まされます。その後麹菌の吹き付け、そして菌を十分に育てる製麹という過程を経て終了です。
酒粕や麹は昔ながらの食材であるため、一般家庭で見る機会は減りつつありますが、その驚くべき効能を知ることで、積極的に取り入れたくなるでしょう。

